2006年5月10日 海外ニュースレター |
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アフガンでの挑戦 | ||||||||||
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1.はじめに 本ニュースレターは、1950年代後半にアフガニスタンで行われた井戸建設工事について、元弊社社員の加藤氏の体験談を基に作成したものです。当時の状況を鮮明にお伝えするため、同氏のコメントをほぼそのままの形で載せております。 2.工事目的 工事目的は、カブール市およびヘラート市への水道施設の建設です。ただし、ヘラート市は、工事資金不足により井戸建設のみとなりました。 初めての水道施設工事ということもあり、市民の期待は相当に高く、連日のようにラジオで報道されていたようです。ヘラートに到着した時は、市長の出迎えがあったほどでした。
本工事では、井戸掘削および給水施設の建設資機材のほとんどを日本から持ち込みました。そのため、資機材の輸送期間は約1年を要しました。井戸建設および給水施設建設は、現地カウンターパートへの技術指導と並行して行いました。日本人技術者は、カブール市で6名(技師長1名、井戸掘削3名、貯水槽の建設1名、配管工事1名)従事し、そのうち弊社から井戸掘削技術者が3名派遣されました。またヘラート市では、4名(技師長1名、井戸掘削3名)が従事し、弊社から井戸掘削技術者3名が派遣されました。 4.井戸工事(カブール市の例) 井戸位置の選定は、日本人技術者の技師長が行いました。掘削方法は、1tのワンビットを用いたローピング(パーカッション)法を採用しました。櫓の高さは15m程度で、人力で組み立てました。掘削深度は、深度55m-80m程度でした。当時は重いビットを運搬できず、軽めのビットを使用したため、時間がかかりました(55mの井戸1本仕上げるに3ヶ月)。硬くてビットが磨耗するため、毎日の様に肉盛を行っていました。 ケーシングプログラムは、掘削時の水位変化を詳細に記録して帯水層や逸水層の位置を判断し、決定しました。当時(昭和30年台初頭)は、日本国内でようやく電気検層が試行されていた時期でした。 カブールで掘削した4井の揚水量は、3井が2t/min程度、河川から最も遠い井戸が1t/min程度と記憶しています。
当時の住民の生活用水は、手掘りの浅井戸に手押しポンプをとりつけて揚水していました。ホテルなど水を大量に使用する施設では、タービンポンプを使用したり、押し上げ式のスイングポンプを用いたりしているところもあったようです。 日本人技術者の生活用水は、空輸したハンドフィードボーリングマシーン(調査用)で浅い井戸を掘り、手押しポンプを取り付けて揚水し、利用していました。 以上 |